
歯槽膿漏の危険性と治療方法について
2021/08/28
こんにちは。練馬区石神井公園にある歯医者「すぎもと歯科クリニック」です。
前回のコラムでは、「子どもが歯ぎしりをする原因は?治療が必要な5つのケース」について取り上げました。第36回の今回は、「歯槽膿漏の危険性と治療方法について」についてご紹介していきます!
歯磨きの際に歯茎から出血したり、歯茎が下がったりする症状を感じたことはありませんか?もしかしたらそれは、歯槽膿漏かもしれません。
歯医者へ行くような口の中の異常というと、最初に虫歯を思い浮かべる方がほとんどです。しかし実は、世界でもっとも罹患率の高い病気は歯槽膿漏なのです。
歯槽膿漏は、活動期と静止期を繰り返しながら進行します。歯茎から出血する日が続いてもしばらくすると症状がストップするため、重度の歯槽膿漏にならないと自分では気がつかないケースも多いです。
今回は、罹患率の割に意外と知られていない歯槽膿漏の危険性と治療方法についてご紹介します。
歯槽膿漏の危険性
一般的に歯槽膿漏といえば、年配の男性がかかる病気というイメージです。たしかに進行した歯槽膿漏は、30代くらいから徐々に増加してきます。年齢を重ねるとともに発症し、進行することが多いため、年齢のせいだと諦めてしまう方も多いそうです。
歯槽膿漏は、年配の男性だけがかかる病気ではありません。あまり知られていませんが、歯槽膿漏は女性の方がかかりやすく、年齢に関係なく徐々に進行しているのです。
ここでは、歯槽膿漏の危険性について詳しくご紹介します。
歯槽膿漏の症状と危険性
歯槽膿漏は、歯肉炎と歯周炎の総称で歯周病の中のひとつです。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、少しずつ静かに進行していきます。
歯槽膿漏が進行していることに気づかず手遅れになってしまう前に、思い当たる症状はないか確認しておきましょう。
- 口の中がねばつきやすい
- 歯を磨くと出血することがある
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎がかゆいと感じることがある
- 口臭を指摘されたことがある
- 歯がぐらついている気がする
- 固いものが噛みにくくなった
- 歯茎から膿が出ることがある
上記のような症状がある方は、歯槽膿漏の可能性があります。
歯槽膿漏の代表的な症状は、歯茎の腫れや赤み、歯茎からの出血や排膿、歯の動揺、口臭などです。重度の歯槽膿漏になると、歯が抜け落ちてしまう危険もあります。
また、歯槽膿漏は口の中だけの病気ではありません。近年の研究で、歯槽膿漏は全身疾患と関連があることもわかってきています。
歯槽膿漏が進行すると原因菌が血管を通して全身を巡り、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や認知症を引き起こす原因になる危険性もあるのです。糖尿病患者は、歯槽膿漏を含む歯周病を患っていることも多く、2つの病気がお互いに悪影響を与え合っている状態になります。
歯槽膿漏になりやすい方の特徴
歯槽膿漏の原因は、口の中の細菌です。細菌の種類や質、量と歯茎の抵抗力のバランスにより発症します。歯槽膿漏の原因菌の量が増えることが、歯槽膿漏の発症にもっとも大きく関係しているのです。
では、どのような方が歯槽膿漏になりやすいのでしょうか。以下は、歯槽膿漏になりやすい方の特徴です。
- 歯磨きをおろそかにしている
- 喫煙者
- 糖尿病を患っている
- 口がいつも開いている
- 歯ぎしりをする癖がある
- 歯並びが悪い
- 降圧剤や抗癲癇剤、免疫抑制剤などを服用している
口の中に細菌が繁殖しやすい環境だと、歯垢が増加します。細菌が排出する毒素や酸が歯を溶かしてしまうことで、歯槽膿漏が徐々に進行していきます。
歯槽膿漏の治療方法
歯槽膿漏は、ここ数十年でその危険性が広く知られるようになった病気です。
歯槽膿漏の治療は、進行度によって内容が違ってきます。軽度ならば自宅でのケアでも治すことが可能ですが、それ以上に症状が進行してしまうと自宅ではどうすることもできません。その場合は、必ず歯医者で治療を受ける必要があります。
ここでは、歯医者で行われる歯槽膿漏の治療方法についてご紹介します。
スケーリング
軽度の歯槽膿漏は、基本的に自宅での丁寧な歯磨きが基本です。しかし、歯垢や歯石は丁寧に歯磨きを行っても取るのが難しいこともあるため、定期的に歯医者でスケーリングなどの治療を受ける必要があります。
スケーリングとは、歯に付着している歯垢や歯石を専用の器具で除去する治療です。音波の振動により、歯垢や歯石に衝撃を与えて歯から剥がす作用があります。
骨移植
歯槽膿漏が進行してくると、歯を支えている歯槽骨という骨が溶けて歯がぐらついてきます。そのようなときは、最新の技術である骨移植を行って歯茎を回復させることが可能です。
骨移植とは、自分の骨や人工の骨を溶けてしまった部分に移植することで再生を促す治療です。骨移植をすると、歯槽骨が溶けて形がいびつになってしまった部分に骨が作られます。すると歯茎が盛り上がり、歯磨きをしやすくなります。
歯磨きをしやすくすれば、歯垢や歯石が溜まりにくくなるため、結果的に歯槽膿漏の進行や再発の予防になるのです。
抜歯
進行して歯槽膿漏の症状がひどい場合は、抜歯も治療の選択肢のひとつです。
自分の歯を抜くのは、患者さんにとっては非常に難しい決断ではあります。しかし、歯槽膿漏をこれ以上進行させないために必要な場合もあります。
ただし、抜歯をすれば歯槽膿漏が治るわけではありません。
歯槽膿漏は口の中全体の病気です。そのため、抜歯をするとともに歯槽膿漏の治療を並行して行う必要があります。
また、抜歯した部分にブリッジや入れ歯、インプラントなどの処置を行う場合でも、歯槽膿漏の治療を行わずにこれらの処置を行うことはリスクを伴うためあまり行われません。
抜歯は、歯槽膿漏の治療において最終手段です。できるだけ自分の歯を残すためにも、症状が悪化する前に治療を受けた方がよいでしょう。
歯槽膿漏は予防がもっとも大切
歯槽膿漏は、歯を失う可能性のある恐ろしい病気です。だからこそ、普段から予防することが大切なのです。そのためには、原因となる歯垢や歯石を溜めないように注意する必要があります。
以下は、歯槽膿漏を予防するために大切なことです。
- 毎食後しっかりと歯磨きをして歯垢を除去する
- 正しい歯磨きの方法を身につける
- 定期的に歯医者で歯石を除去する
- 歯医者で定期検診を受ける
歯槽膿漏予防の基本は、正しい歯磨きです。歯ブラシだけでは隅々まで綺麗にすることは困難です。必ず、歯間ブラシやデンタルフロスを併用するようにしましょう。
まとめ
歯槽膿漏の危険性と治療方法についてご紹介しました。
日本では20歳以上の8割程度が歯周病を患っていると考えられています。自分も歯周病である可能性が極めて高いとすると、将来歯槽膿漏にまで進行してしまうと考えられなくもありません。
歯槽膿漏かどうかを確認するためには、まずは歯医者で自分の口の中の現状を把握するとよいでしょう。
そして、定期的に歯医者で検診を受けたり、歯石を除去したりすると歯槽膿漏になるのを予防できます。
すでに歯槽膿漏の可能性が高い方は、歯を失わないためにもできるだけ早く歯医者で治療を受けることをおすすめします。
次回は「銀歯を子どもに使うのは安全?体に与える影響と治療の選択肢」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!
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