
歯槽膿漏が口臭の原因になる理由と改善するための対処法
2021/08/28
こんにちは。練馬区石神井公園にある歯医者「すぎもと歯科クリニック」です。
前回のコラムでは、「歯痛で眠れない! 虫歯の痛みを和らげる方法」について取り上げました。第40回の今回は、「歯槽膿漏が口臭の原因になる理由と改善するための対処法」についてご紹介していきます!
歯槽膿漏の代表的な症状といえば、歯茎の腫れや出血などですが、口臭も気になっている方も多いのではないでしょうか。
口臭には、普通に生活している中で誰にでも起こる可能性のあるものもあれば、病院で治療を受ける必要があるものなどさまざまなものがあります。
実は、その中でもっとも多いのが歯槽膿漏によるものです。歯槽膿漏が原因の口臭は、ほかの原因からくる口臭に比べると非常に強いにおいを発するのが特徴です。歯槽膿漏は進行すると悩みと口臭だけでなく歯を失う恐れもあるため、早めに対処する必要があります。
今回は、歯槽膿漏の口臭とそれを改善する対処法についてご紹介します。
歯槽膿漏とは
歯槽膿漏とは「歯周病」が進行した状態のことです。ひどくなると歯を支える歯槽骨という骨が溶けて膿が出てきたり、歯が抜け落ちたりする恐ろしい病気です。
日本では20歳以上の8割以上が歯槽膿漏の初期段階である歯周病にかかっているといわれています。初期症状がないため、治療をせずに放置してしまったことで歯を失ってしまう方が後を断ちません。
ここではまず、歯槽膿漏の原因と症状について詳しくご紹介します。
歯槽膿漏の原因
歯槽膿漏の原因は、歯の表面にこびりついている歯垢(プラーク)に潜む細菌です。口の中に歯垢が溜まると、増殖した細菌が毒素を排出し、歯茎に炎症を起こします。
また、唾液に含まれるカルシウムなどが歯垢に沈着して石灰化した「歯石」も、直接的ではないものの歯槽膿漏の原因になる可能性があるため注意しなければいけません。
歯石は、死んだ細菌が固まって化石のようになったものです。歯石がついていると歯の表面がデコボコになり、歯垢が付着しやすい状態になってしまいます。
つまり、歯石があると歯垢が溜まりやすくなるため、歯槽膿漏になる可能性を高めてしまうということです。
歯槽膿漏の症状
歯槽膿漏の初期症状は、歯茎の腫れや出血です。そこから進行していくと、以下のような症状が現れます。
- 歯茎から膿が出る
- 口臭が強くなる
- 歯が揺れる
- 歯が抜け落ちる
- 歯が長く見える
歯槽膿漏は、病気がかなり進行するまで目立った症状が現れないという特徴があります。そのため、症状を自覚したときにはかなり進行しており、歯医者で歯を抜くしかなくなってしまうことも少なくありません。
近年の研究で、歯槽膿漏になると全身に悪影響を与えることがわかってきました。細菌が血液と一緒に流れて内臓に運ばれていくことで、肺炎や呼吸器疾患、感染症内膜炎などの心疾患に悪影響があります。
さらに、糖尿病と歯槽膿漏はお互いに悪い影響を与え合い悪化させてしまうため、糖尿病にかかっている方は十分に注意しなければいけません。
歯槽膿漏の口臭について
ある程度の口臭は、誰にでもあるものです。
しかし、周りの人が顔をしかめたり、指摘されたりした経験のある方、口臭が気になって歯磨きを入念にするようになったがなかなか改善しないという方は、歯槽膿漏が原因で口臭が強くなっている可能性があります。
ここでは、歯槽膿漏が口臭の原因になる理由と口臭チェック方法についてご紹介します。
歯槽膿漏が口臭の原因になる理由
歯槽膿漏は、口の中の細菌が毒素を排出することで歯茎などの組織に炎症を起こす病気です。この細菌は、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットという溝が大好きで、歯槽膿漏が進行していくほど歯周ポケットが深くなってしまいます。
歯周ポケットや歯石などに潜む細菌が増殖すると、食べ物に含まれるタンパク質などを分解して、「揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)」を作り出します。
この揮発性硫黄化合物に含まれる成分が、口臭の原因です。
揮発性硫黄化合物の代表的な成分は、硫黄水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド[(CH3)2S]の3種類です。この中でもとくに歯槽膿漏との関わりが強いのが、メチルメルカプタンです。
メチルメルカプタンは、玉ねぎが腐ったようなにおいだといわれています。このにおいが強いほど歯槽膿漏が進行している可能性があります。
口臭チェック方法
メチルメルカプタンのにおいは自分では気付きにくいのが特徴です。そのため、気がつかない間に周りの人を不快な気持ちにさせているかもしれません。
また、この独特の口臭は歯槽膿漏のサインでもあります。まずは自分で口臭チェックをして、気になるようなら歯医者で口臭検査を受けてみるとよいでしょう。
自分で口臭をチェックしたいときは、ティッシュで舌の上や歯茎の近くを拭ってみてください。ティッシュから玉ねぎの腐ったようなにおいがする場合は、歯槽膿漏の可能性があります。
歯医者では、シリンジという筒を口にくわえて測定機器に息を吐き、溜まった呼気で口臭の強さや種類を判定します。検査時間は5〜10分で終わる簡単な検査ですが、自費診療となるため歯医者によってかかる費用が違う点に注意が必要です。
歯槽膿漏が原因の口臭を改善する対処法
歯槽膿漏が原因の口臭を改善するためには、歯槽膿漏の治療を行うことがもっとも効果的です。さらに、自宅でも自分でできる対処法を行うことで歯槽膿漏のリスクを減らし、口臭を改善できるように努めましょう。
ここでは、歯槽膿漏が原因の口臭を改善する対処法についてご紹介します。
歯医者で治療を受ける
歯医者ではまず、炎症の原因となっている歯垢や歯石を取り除くことからはじめます。
以下は、歯の表面を綺麗にする治療法です。
- スケーリング:歯の表面に沈着している歯石を除去する
- ルートプレーニング:歯の根っこや表面の毒素で汚染された部分を除去する
歯にグラつきがあるときは、噛む力で歯茎に負担をかけないように接着剤で隣の歯と固定する処置を行うこともあります。それでも改善しない場合や症状がひどい場合には、歯茎を切開して深部の膿を出したり、腫れた歯茎を切除したりするなどの処置を行う可能性もあります。
自宅でできる対処法
実は、歯槽膿漏を改善、予防するためにもっとも大切なことは、毎日のブラッシングです。
歯垢が溜まりやすい歯と歯茎の境目を意識して磨くことで歯垢を落とします。また、歯茎をマッサージする効果も期待できます。
歯と歯茎の境目に45度の角度で歯ブラシを当て、小刻みに動かして1本ずつ丁寧に磨くのが歯槽膿漏に対する正しい歯磨き方法です。しかし正しい方法で歯を磨いても、歯ブラシだけでは歯垢を6割しか除去できないといわれているため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用して歯垢の除去率をアップさせる必要があります。
また、ストレスや疲れを長期間溜め込まないようにすることも、歯槽膿漏の改善と予防には効果的です。疲れが溜まっていると感じたら、ゆっくり休んだり趣味の時間を作ったりしてストレス解消するようにしましょう。
まとめ
歯槽膿漏の口臭とそれを改善する対処法についてご紹介しました。
歯槽膿漏が原因の口臭は、ほかの原因による口臭よりも強いにおいを発します。そのため、根本から口臭の原因をなくす必要があるのです。
歯槽膿漏は初期症状がほとんどなく、進行しやすい病気です。日頃から歯槽膿漏にならないように、しっかりと口の中をケアするようにしましょう。
すでに自分の口臭が気になる方は、歯槽膿漏かどうかを調べてもらうためにも歯医者へ足を運ぶことをおすすめします。
次回は「子供の虫歯を放っておいたときに起こる5つの影響」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!
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