
口内に起こる夏バテとは?夏の口内トラブルとその対策を紹介
2021/08/28
こんにちは。練馬区石神井公園にある歯医者「すぎもと歯科クリニック」です。
前回のコラムでは、「赤ちゃんの歯が生え始める時期は? 乳歯が生えるサインと注意点」について取り上げました。第65回の今回は、「口内に起こる夏バテとは?夏の口内トラブルとその対策を紹介」についてご紹介していきます!
ここ数年の日本国内の夏は温度が上がるばかりで、毎年のように最高気温を更新している有様です。
熱中症で人が亡くなったり入院したりというニュースは、昔はそれほど聞いたことがありませんでした。
それだけ暑くなった日本の夏なので、夏バテになる人もさぞ増えたことと思います。
さて、その夏バテですが、口の中や歯も実は夏バテするってご存じですか?
ここでは、あまり聞いたことのない「口内の夏バテ」とその対策について、詳しくお話したいと思います。
そもそも夏バテって?
ひと言で夏バテといっても、様々な原因や症状があります。
- 大量の汗をかくことによる水分不足
- 暑さで食欲が減退して栄養不足になる
- 空調などでの温度差による自律神経の乱れ
上記のような原因で体調をくずすのが、いわゆる夏バテです。
そしてその夏バテによる身体の不調が影響を及ぼして、口内の夏バテに繋がってトラブルを起こすのです。
口内に起こる夏バテと、その対策
それでは具体的に、口内に起こる夏バテにはどんなものがあるのか、そのそれぞれの対策と合わせて詳しくみていきましょう。
口臭
夏に口臭がきつくなる原因は2つあります。
水分不足による唾液の減少
人の身体が夏の暑さに対して大量の汗をかくと、体内だけでなく、口の中の水分も減少して、唾液の量が減ってしまいます。
唾液には細菌を抑制する自浄作用がありますが、唾液が減るとその自浄作用も落ちてしまい、口の中の細菌が繁殖しやすくなり、口臭が発生します。
対策としては、水分をまめに摂り、梅干しなどの酸っぱいものや、噛む回数の多いスルメなど、唾液が増えそうなものを選んで食べるようにし、口内の水分量をなるべく増やしましょう。
舌苔(ぜったい)
人はものを食べるとき、食べ物を噛み砕きながら唾液と混ぜ、その塊で舌の上をこすりながら飲み込みこむことで、舌の上を掃除します。
しかし暑くなると、食欲がそそらない所為で、食べやすかったりのど越しがよかったりするものを食べがちになり、あまり噛まなくなってしまうので、舌の上の掃除が疎かになり汚れが溜まります。
その汚れ(舌苔)から匂いが発生し、口臭となります。
舌苔は朝起きた時が一番多いので、歯を磨いたあと、舌ブラシを使って1日1回のペースで舌を磨くのが効果的です。
舌ブラシはいろんな形状のものがありますが、普通の歯ブラシでは舌に対して硬く汚れも取りづらいので、舌磨きには舌専用の舌ブラシをお勧めします。
歯周病・虫歯
夏バテにより水分不足になると唾液の分泌が減りますが、加えて食欲が減退すると、食事の量も減るので、さらに唾液の分泌が減ることになります。
そして食事の量が減ると栄養不足となり、免疫力も低下します。
この2つの相乗効果で、歯周病の原因となる歯周病菌も増えてしまうのです。
しかし歯周病は自覚症状がほとんどないままかかり、進行していきます。もともと歯周病の人はさらに悪化してしまいます。
ちなみに虫歯も歯周病と同じ感染症ですので、軽度の虫歯がある人は悪化する可能性が十分にあります。
対策としては、虫歯にしろ歯周病にしろ、夏バテの間はいつも以上に口内を清潔に保つことです。
しかし特に歯周病は、かかり始めは痛みや歯のぐらつきなどの自覚症状がないため気付きにくく、症状が出たときにはもうある程度進行してしまっています。
気になるところがあるようであれば定期健診などを受けて、普段から歯の様子を把握しておくのが一番でしょう。
歯周病や虫歯はその菌が血管を通って体内に入り込み、身体全体のさらなる不調に繋がる可能性がある感染症ですので、たかが夏バテだと甘く見てはいけません。
酸蝕症
酸蝕症とは、酸によって歯が溶けてしまう症状のことです。
外因性のものと内因性のものとがありますが、夏バテの場合は特に、外因に気を付けます。
清涼飲料水やスポーツドリンクなど、暑くなると色んな形で水分補給をすると思いますが、酸性度の強い飲み物をだらだらと飲むと、歯のエナメル質を常時酸に晒していることになります。
水分の浸透率を考えるとスポーツドリンクを選びたいところではありますが、酸性の飲み物を飲むときは、ちびちびと飲まずに時間を決めて飲むのがいいでしょう。
炭酸飲料を飲むときも、あのシュワッとした飲み心地を楽しみたいところだと思いますが、まさに口内の隅々に酸を行き届かせていることになってしまいますので、できるだけ素早く飲み込むのが望ましいです。
どちらにしても、酸性の飲み物を飲んだ後は水やお茶を口に含んだり口をゆすぐようにして、酸を口内に残さないようにしましょう。
舌のむくみ
暑さのせいでどうしても水分を多く摂りますが、あまり水分を摂りすぎたり、疲れがたまっていたりすると、舌がむくむことがあります。
自分ではなかなか自覚できないかもしれませんが、舌があまりむくむと、食事の際に噛んでしまったり、喋りにくくなる、息がしづらくなるなどの症状があります。
むくんでいるときの舌を見てみると、舌の横に歯の跡がギザギザとつくので、鏡を見て確認してみてください。
暑さの中、水分を控える必要はないですが、冷房と外気の温度差や、熱帯夜のせいで眠れない、栄養が十分にとれていない、食事の塩分が多いことなども原因として考えられますので、しっかりと休むことや生活習慣の見直しなどで解決することができます。
口内の夏バテを防ぐには?
細菌増殖を抑える唾液は口の中の守りの要なので、口内の不調の主な原因としてその水分不足に特に注意が行きがちですが、問題はそこだけではないことが分かりました。
食欲減退による栄養不足や、温度差に追いつかない身体の疲れ、自律神経の乱れなど、このような不調は口の中だけの問題ではなく、結局は身体全体の問題として捉えなければならないのです。
- 水分をこまめに摂り、酸味があったり、噛む回数が増えたりする食べ物を摂って唾液を増やす
- 屋内のエアコン使用時と屋外の温度差をなるべく5℃以内に抑えて自律神経を整える
- 暑すぎる夜には我慢せず、低すぎない28℃前後に設定し安眠を心がけ、日中の疲労をしっかりとる
- 夏バテに効く疲労回復の成分であるビタミンB1を含む食材(うなぎ、豚肉など)や、汗をかいたあとに必要なカリウムや水分が豊富に含まれる夏野菜などを積極的に摂る
- 酸性の強い飲み物をダラダラと飲むのは避け、中性の飲み物を口に含むなどして口の中の酸を残さないようにする
以上を心がけて夏バテに負けない身体を作ることが、口内の夏バテを防ぐことに繋がります。
結局は、身体の健康が第一です。
まとめ
口内に起こる夏バテについて、その対策なども合わせて詳しく解説しましたが、いかがでしたか?
夏の暑さによる身体の不調が口内の夏バテを生み、口内の夏バテがさらに体調を崩す原因になる、という負のループにならないように、体調管理をしっかりと行って、猛暑を上手に乗り切りましょう!
今まさに夏バテになっている方や、暑さのせいで口内が不調の方の参考になれば幸いです。
次回は「乳歯の成長の異常ってどんなものがある?パターン7つとその対処法」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!
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