
乳歯の成長の異常ってどんなものがある?パターン7つとその対処法
2021/08/28
こんにちは。練馬区石神井公園にある歯医者「すぎもと歯科クリニック」です。
前回のコラムでは、「夏バテは口や歯にも起こる? 夏に気をつけたい口内トラブルと対策方法」について取り上げました。第66回の今回は、「乳歯の成長の異常ってどんなものがある?パターン7つとその対処法」についてご紹介していきます!
痛み、ぐらつき、腫れ、変形、噛み合わせ。
可愛らしい歯が生えてくるのは親としては嬉しいですが、半面、その形や生えてくるタイミングなど、さまざまな異常を見つけると心配の種にもなりますよね。
今回は、乳歯の成長の異常のパターンを挙げて、合わせてその対処法も紹介したいと思います。
乳歯の成長異常のパターンは7つ
乳歯が生えてくるのは、個人差はありますが大体生後6ヶ月ほど。
1歳になるころに、上下の前歯4本が揃い、3歳までには乳歯の20本全部が生え揃うのが一般的ですが、最初の1本が1歳を過ぎてから生えてくる子もいますので、そこまで神経質になる必要はありません。
そんな中、もしも異常を見つけてしまったときは、すぐに歯科医院にかかった方がいいのか、そのまましばらく様子を見ていいのか、判断が難しいですよね。
その、乳歯の異常のパターンにはどんなものがあるのか、そしてどう対処するのかをひとつずつ見ていきます。
1.乳歯萌出遅延(にゅうしほうしゅつちえん)・埋伏歯(まいふくし)
1歳を過ぎてもなかなか最初の歯が生えてこない、乳歯萌出遅延という症状があります。早産だったり低体重児だったりした場合に多いと言われます。
また、乳歯が抜けたのに永久歯がなかなか出てこない、埋伏歯という症状もあります。歯はあるのに外に出てこられない歯のことで、親知らずが多く、半分だけ埋まっている半埋伏というケースもあります。
乳歯萌出遅延と埋伏歯はよく似ていますが、対処が違います。
乳歯萌出遅延については、どんなに遅くても通常2~3歳までには乳歯20本が生えそろいますので、それまでは様子を見ます。
しかし、あまりに遅い場合は「開窓」といい、歯の埋まっている歯茎の中の骨に穴を開けてあげる手術を行うと、歯が出てこられるようになり、その後「開窓けん引」で、歯を引っ張り出します。
埋伏歯は、その後の歯並びに影響があるかどうかを判断する必要があり、乳歯が抜けたのにその後なかなか生えてこなかったり、乳歯が無かったところから歯が生えてきたりという異常の場合、抜歯が必要な場合もあるので、歯科医院に相談しましょう。
2.癒合歯(ゆごうし)
隣り合わせる歯がくっついて1本の歯のようになってしまった状態で、乳歯では癒合歯になる確立は4%と多いです。
原因はよくわかっていませんが、胎内で歯の卵(歯胚)が作られるときにくっついてしまったという説が有力です。
この歯はなかなか生えてこないのと、生えてきても磨きづらく、虫歯になりやすいところが問題です。
対処法としては、生えてこない場合は前述の乳歯萌出遅延と同じで様子を見ます。生えてきた場合、形状によっては、磨きづらい部分を事前に埋めるシーラントをする、フッ素を塗るなどして、虫歯予防をしっかり行います。
癒合歯の乳歯はなかなかぐらつかず、自力では抜けない場合がありますので、歯科医院と相談して抜歯する場合もあります。
3.過剰歯
子供の乳歯は全部で20本で、それより多い場合は過剰歯といいます。
歯胚が何らかの理由で多く作られたり、2つに割れたりすることが原因という説がありますが、本当のところは分かっていません。
対処としては、乳歯については様子を見ても大丈夫です。
しかし永久歯の場合は、その所為で乳歯が早く抜けてしまったり、本来生えてくるべき永久歯の邪魔をしたりするので、歯並びに影響が出ないよう、タイミングを見て抜歯する必要があります。
4.先天性欠如
先天性欠如は、何らかの理由で歯胚が作られず、歯の本数が足りないケースです。乳歯の場合は下の前歯に多いです。
原因はよく分かっていませんが、全身疾患や遺伝、薬の副作用などが考えられています。
歯の本数が少ないと隙間があるので、食べカスが詰まり虫歯になりやすく、しかも永久歯が出てくる間隔が確保できずに歯並びや噛み合わせが悪くなるので、食事や発音に影響が出ます。
対処法としては、乳歯のうちは経過を見ます。先天性欠如の場合、永久歯が生えてからの様子を確認してから、どんな治療が必要かを判断します。
歯の生え変わりの時期になっても乳歯が抜けなかったり、永久歯がなかなか生えてこないという場合は、早めに歯科医院に相談しましょう。
歯並びや噛み合わせの問題に対しては、成長期のうちは矯正も行えますし、永久歯が出て来れなければ顎を広げる手術もでき、足りない歯に関しては、部分入れ歯やブリッジなどでも対応が可能です。
5.切歯結節(せっしけっせつ)
前歯の裏に歯の変形によってできる、小さな突起のような出っ張りのことを言います。
歯が形成されるときに過剰歯がくっついてしまったり、歯の奇形だったりで出来る出っ張りですが、原因は分かっていません。
下の前歯が、切歯結節に当たることで内側にねじれていってしまい、噛み合わせが悪くなったり、歯の位置がずれてしまったりします。
対処法としては、乳歯の時点ではそのまま経過を見ます。下の前歯が先に永久歯に生え変わりますが、切歯結節があると永久歯がずれていってしまうので、必要であれば結節を削りますが、結節のある歯が抜ければ、多少のずれは後で元に戻ります。
6.エナメル質形成不全
歯の表面はエナメル質と呼ばれる層で覆われています。
エナメル質形成不全とは、そのエナメル質がしっかり作られなかった歯のことで、先天性の歯の表面の病気です。
エナメル質形成不全の歯は、歯の質自体が弱かったり柔らかかったりするせいで、虫歯にもなりやすく、その進行も早いです。
よく見ていないと気づきにくいかもしれませんが、まだきちんと自分で磨けないお子さんの歯のことなので、仕上げ磨きのときなど、よく観察してください。
対処法としては、まず虫歯にならないように歯科医院で定期的にフッ素を塗る、表面がぽろぽろ欠けるようであればコーティングで固めて補助するなどがあります。
甘いもののコントロールも、家庭ででできることの1つですので、上手に管理してみてください。
7.色の異常
後天的なものですが、ぶつけるなどして黒ずむ、食べ物の色が茶色く付く、などの色の異常があります。
黒くなっている場合は、神経が死んでしまっているので、歯の根に腫れや膿など他の症状が無いかどうか調べて、治療が必要な場合は対応します。
黒くなる原因によっては、乳歯がなかなか抜けなかったり、逆に早く抜けてしまったりすることもあるので、定期的に診てもらうなど対応が必要です。
食べ物での着色についてはそこまで問題はありませんが、着色の原因が歯垢や口呼吸などの場合は、根本を解決しないと改善しません。
歯垢は歯科医院で落としてもらえますが、心配であれば相談しながら、様子を見た上での対応でも大丈夫です。
まとめ
乳歯の成長の異常について、そのパターンや対処法をまとめてみましたが、いかがでしたか?
まだ上手く言葉で伝えられないお子様の歯の異常は、毎日お世話している親が見つけなければいけませんが、歯科医院に定期的に診てもらうことで、見落とすことなく安心して対応することができます。
乳歯の場合は様子を見て大丈夫な場合が多いですが、不安を抱えたままでいるより、気軽に診てもらった方がいいでしょう。
次回は「子どもから口臭が?原因や対策を紹介」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!
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